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とっておきのラインナップの1冊を紹介します!


今回の絵本
『 そんごくう 』
 呉承恩/作 小暮正夫/文 中嶋潔/絵
 864円 1988年初版(16世紀に成立)


テーマ
 ぼうけん・ファンタジー


読後感
 わくわく・おどろく


絵のタッチ
 やわらかい線・ひょうきんな表情


あらすじ
 高い山から落ちてきた石のかたまりからサルが生まれてきました。そのサルは、その後サルの王さまになります。それから500年もたったころ、そのサルの王さまは不老不死をのぞんで、仙人の弟子になりたくさんの術をおぼえます。
 これがそんごくうです。そんごくうは世界を回り、天の国まで行って、大あばれをします。ところが、そんごくうは、おしゃかさまに罰として500年間、五ぎょう山の岩に閉じこめられてしまいます。ようやく許されたそんごくうは、三ぞうほうしを助けて旅をします。旅の途中に次から次に現れる妖怪たちをやっつけて大活躍をするのです。


ポイント
けたはずれな数字がたくさん出てきて、話のスケールの大きさを感じます。
①そんごくうは、重さが8トンもある自由に伸び縮みする「にょいぼう」をふりまわします。
②10万8000里(地球を10周できる距離)を一瞬で飛べる雲の乗り物「きんとうん」を
 あやつります。
③3000年、6000年、9000年に一度実る不老不死の実を食べてしまいます。

また、そんごくうは、不思議な術をつかいます。
①体の毛を抜くとその毛一本一本が小さなそんごくうになり、敵と戦います。
②敵がいる場所に小さな虫になって入り込んだりもできるのです。

時間や大きさの目まぐるしく変わる世界が物語にどんどん引き込みます。



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今回の絵本
『 ふしぎなふしぎなながぐつ 』
 佐藤さとる/作 村上つとむ/絵
 1,512円 1972年初版


テーマ
 想像・空想


読後感
 不思議な気持ち


絵のタッチ
 素朴


あらすじ
 かおるくんは真新しい小さなながぐつが片方かきねの下に落っこちているのに気づきます。次の日、行ってみるとそのながぐつは一回り大きくなっているようすです。持って帰って置いておくと日に日に大きくなるのでした。かおるくんはこのおかしなながぐつを人に見られないように物置きにかくします。そのうちに、ながぐつはかおるくんの背たけよりも大きくなります。ところが今度は日に日に小さくなっていくのです。


ポイント
 くつしたの中にプレゼントを入れてくれるのはサンタクロースとわかっているからプレゼントは喜べるものなんですね。誰のものかわからないものを手に入れたことがきっかけとなり、想像がふくらむお話です。このお話のながぐつは結局なんで大きくなって、その後小さくなってしまったかもわからないままなのです。読後感はいつまでも不思議の世界と自分のいる日常がつながっているような妙な気分です。落し物を見ると不思議な空想がわいてきてしまうのです。



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今回の絵本
『 天使のいる教室 』
 宮川ひろ/作 まつしませつこ/絵
 605円 1996年初版


テーマ
 いのち、生きる力


読後感
 なみだが出る


絵のタッチ
 あたたかい


あらすじ
 小児がんを患うあきこちゃんが、小学生になった1年間の物語。あきこちゃんが家族や先生、クラスのみんなの支えの中で、病気にめげず生きる姿が、入学式、遠足、運動会、折々の行事を通して描かれます。


ポイント
 あきこちゃんをめぐる人々を通して、人が共に心を分かち合いながら生きるとはどういうことかを描いた作品です。中でも担任のサトパン先生が「ことばあそびうた」として授業で取り上げる「かっぱ かっぱらった…」で有名な谷川俊太郎の「かっぱ」の詩などが出てきます。あきこちゃんに生きる力を与えるクラスみんなのことばのシャワーとなってふりそそぎます。ことばのシャワーは読み手にも力を分けてくれます。



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今回の絵本
『 虫めづる姫ぎみ 』
 森山京/作 村上豊/絵
 1,296円 2003年初版


テーマ
 個性・アイデンティティ


読後感
 みんなちがってみんないい


絵のタッチ
 やわらいかい、親しみやすい、丸っこい


あらすじ
 お姫さまは毛虫が大好きで、男の子たちに虫をつかまえさせては、 虫の名前を調べたりするのが楽しみです。美しいお姫さまなので男の人は放っておかないのですが、それでもお姫さまは虫のことにしか興味がないようすです。


ポイント
 『堤中納言物語』という平安時代に書かれた作品の一編です。 この作品は虫をあやつる『風の谷のナウシカ』のもとになっているそうです。 お姫さまは周りがどう言おうがお構いなく、趣味を通して没頭する達観した動じなさがあります。そこに人間的な魅力を感じます。



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今回の絵本
『 ガラスのうま 』
 征矢清/作 林明子/絵
 1296円 2001年初版


テーマ
 想像力、純粋さ


読後感
 ドキドキ、わくわく


絵のタッチ
 シンプル、繊細、つるっとしている


あらすじ
 すぐり少年はガラス細工のうまの足を折ってしまいます。うまはすぐりの手から抜け出して、山の中にかけ出して行ってしまいます。追いかけて迷い込んだ山の中で、すぐりは魔女のようなガラス山のかあさんの小屋の水くみをさせられます。たまった水がめの奥は深く夜空のような世界が広がりました。その中をあのガラスのうまが走っているのです。追いかけるように、すぐりは水がめの中に飛びこむと、その先には何もかもガラスでできた世界が広がっているのでした。


ポイント
 日常から不思議な世界に入り込んでいく「千と千尋の神隠し」や「おしいれのぼうけん」のタイプのお話です。子供がお話の世界に入り込みやすく、魅了されるタイプのストーリーだといえます。



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今回の絵本
『 ちいさなねこ 』
 石井桃子/作 横内襄/絵
 864円 1967年初版


テーマ
 猫の視点


読後感
 はらはらしたけれど、ほっとした。


絵のタッチ
 リアルな描写とシンプルな色使い


あらすじ
 ちいさなねこが母猫の目を盗んで外に出て行ってしまい、車や犬など危険をかいくぐっていきます。



 本の本質、同じ世界を見ているはずなのに別の視点で見てみるとこんなに違って見えるのかということの醍醐味がシンプルに描かれています。 猫が本の見開きに大写しで描かれて、ならではのすばしっこい動きを紙面上で あらわすスリリングな感じもおもしろいです。 安心感とともに読み終わるので、本を閉じるときには満足感でいっぱいです。



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今回の絵本
『 一休 』
 武者小路実篤/作 水沢研/絵
 670円 1981年初版


テーマ
 死生観 親子愛


読後感
 変でおもしろいのに深い


絵のタッチ
 ユーモラスな墨絵のような感じ


あらすじ
 とんち小僧の一休さんが、修行の末に生きること、死ぬことを考えぬき、人の一生とは何かということを人々に教え広めます。おもしろく読めるのに深い話。



 一休さんがつくった和歌(道歌)がたくさん出てきます。
 それがおもしろいのに深い余韻と考えるきっかけを生みます。
 大人も(大人こそ)立ち止まってしまうような指摘に思います。

 「元日や 冥途の旅の 一里づか めでたくもあり めでたくもなし」

 元日は あの世へ行く人生という旅の 目安なんだから、 良くも悪くもないものだ。



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今回の絵本
『 とおせんぼ 』
 村上しいこ/作 たごもりのりこ/絵
 1,620円 2014年初版


テーマ
 人情


読後感
 めでたしめでたし


絵のタッチ
 ほのぼの


あらすじ
 一人ぼっちの子鬼は友達が欲しくてとおせんぼをする毎日です。けれど、誰も立ち止まってくれません。ある時通りかかったおじいさんにとおせんぼをすると「へたくそ!とおせんぼの極意を教えてやる」とおじいさんのだんご屋に連れていかれて働くことになりました。
 だんご作りをするだけの毎日が過ぎていきます。
 けれど、おじいさんはちゃんとその間に山の中にだんご屋を一軒建ててくれていたのでした。のれん分けしただんご屋は繁盛してとおせんぼをしなくても人が集まる場所になったというお話です。
 心憎い大人のはからいです。



 ことばの学校ではこのたび、小学校入学前からでも取り組める教材を開発しました。ラインナップはすべて絵本です。今回取り上げた本はその1冊です。



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今回の絵本
『 すすめ!ドクきのこ団 』
 村上しいこ/作 中川洋典/絵
 1,296円 2011年初版


テーマ
 自己変革


読後感
 ハッとする


絵のタッチ
 線が太い


あらすじ
 小4のたつしが名づけたドクきのこ団といういたずらグループが今解散の危機にあります。そんな中、たつしはクラスメイトの愛里ちゃんを好きになるのですが、仲良くできず、愛里ちゃんにいたずらばかりしてしまうのです。相談したお兄ちゃんからは相手のことを見ていないからだと指摘されるのでした。そのことがきっかけで、たつしはドクきのこ団の解散危機の原因がひとりよがりな自分にあるのだと気づくのでした。



 お兄ちゃんのアルバイト先の食堂でお客さんの気持ちを察しながら、対応することを覚えたたつしは愛里ちゃんやドクきのこ団の仲間たちの気持ちを考え始めます…

 要所要所でカツ丼やラーメンをつくっていっしょに食べるという話が出てきます。人と人が心を通わせる機会をいっしょに食事することとして描いています。そこが気負いがなくさらりとした様子で余計にあったかくて、しみじみとしてきます。



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今回の絵本
『 おばあさんのひこうき 』
 佐藤さとる/作 村上勉/絵
 1,620円 1973年初版


テーマ
家族


読後感
わくわくする


絵のタッチ
素朴


あらすじ
編み物上手な一人暮らしのおばあさんがチョウの羽をじっくり観察して、
その模様通りに編み物を作ったら、なんとふわりふわりと編み物が浮き出しました。
おばあさんは、これで飛行機を作り、孫のいる港町へ空の旅をするのでした。



お話の始まりがじわりじわりとしたテンポで、
いかにも編み物を楽しむおばあさんのゆったりとした時間感覚です。

そのテンポの中で、不思議な出来事が突如として起こります。
そのため、お話の変化の面白さを一層感じさせます。

旅が終わり、
おばあさんは大好きな編み物をあまりしなくなってしまいます。
そして、孫のいる町へ移り、
同居することを固辞していたおばあさんでしたが、
それを受け入れます。
その理由は特に書かれません。
そんな終わり方も、ずっと不思議な世界の余韻を読み手に残してくれます。
なぜなんだろうと想像してみましょう!



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今回の絵本
『 三銃士 』
 デュマ/作 村井香葉/絵
 864円 1844年初版


テーマ
仲間


読後感
はらはらする


絵のタッチ
劇画風、強い


あらすじ
青年ダルタニャンがパリに出て、銃士隊の仲間たちと一緒に敵対する リシュリュー首相らの陰謀に立ち向かう冒険あり、恋ありの物語。



本来は1000ページ以上ある本をダルタニャンのエピソードを中心に小学生向けにまとめたのがこの本です。
そのためとてもスピード感にあふれています。
フランスとイギリスの戦争が背景にあり、ダルタニャンを始め、実在した人物がたくさん出てきます。

三銃士というと男の子の本のように思いがちですが、中心人物にはダルタニャンの恋人コンスタンス、そしてフランスの王妃、他になぞの黒マントの女ミレディなどの女性もたくさん出てきます。
時代を経ても老若男女誰でも、みんな面白い名作をどうぞ!



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『ふりかけの神さま』
 令丈ヒロ子/作 わたなべあや/絵
 1,188円(税込) 2006年初版





夢を見た気分



ほのぼの 丸みがある



主人公のさらちゃんはおかずを食べず、ふりかけのごはんが大好き。
お母さんにふりかけを禁止されてしまったところ、ふりかけの神様が現れます。



「○○の神様」という言い回しは良く使われますね。
八百万(やおよろず)に神様がいると言いますが、さすがにいないだろうと思う ふりかけにも神様がいたのでした。

主人公のさらちゃんがふりかけよりも大事なものに気付いたとき神様はいなくなってしまいます。

その大事なものとはお母さんの存在だったのです。 お母さんがさらちゃんを思って作ってくれた食事が一番だと気付く。

主人公が他の登場人物の影響で変化・成長するお話をシンプルにそしてファンタジーの力を使って読ませてくれます。



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『赤毛のアン』
 L.M.モンゴメリ/作 村岡花子/訳 HACCAN/絵
 713円(税込) 1908年初版



成長



わくわく



現代的・かわいらしい



孤児のアンが引き取り育ててくれたマシュウおじさん、マリラおばさんや友人たちとの交流を通して自分を見つめ、生きる喜びを様々に感じる瞬間が描かれます。



連続テレビドラマでも話題になりました。
読み始めると、風変わりな少女のアンが出てきます。

最初、人の話も聞かないような困った印象なのです。
ところが、読み進めるとその違和感が読み手を引き込む力に変わるのです。

アンが生き生きと語りかけてくるようなのです!

そして、アンを引き取ったマリラやマシューがそうなったように
アンの想像力あふれる話をまた聞きたくなってしまいます。

たぐいまれな想像力と純粋な(まっすぐな、そのため失敗もする!)
性格のアン・シャーリーの成長がプリンスエドワード島の美しい四季とともに絵の ように語られます。



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『わくわく森のむーかみ』
 村上しいこ/作 宮地彩/絵
 1,400円(+税) 2011年初版



純真さ・誠実さ



ほんわか・あたたかい



ユーモラス・あたたかい



郵便局で働くお父さんを手伝う心やさしいくまの子、むーかみが泥棒をしているきつねのぷっぷをいつのまにかに改心させて一緒に人助けをするお話です。



まっすぐな気持ちを持つくまの子むーかみは、すさんだ気持ちの持ち主の大人たちである泥棒ぎつねや孤独なかわうそのおばあさんの心を開かせます。「大人も本当は自分の気持ちをまっすぐ持てばいいんだよ、素直になればいいんだよ」と言われている気がしました。子どもたちからもらう力を日ごろから感じていますので、納得の一冊でした!



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『みずたまり』
 森山京/作 松成真理子/絵
 1,080円 2011年初版



思いやり



じんとくる



やわらかい



タクが水たまりをのぞくと自分の顔がだんだんと津波でひとりぼっちになった女の子の顔に見えてくるのでした。



「つなみにおどろいたタクでしたが、ひがたつうちにそのおそろしさも、おんなのこのことも、わすれてしまっていました。」

この一行が読み手をおのずと自分に引きよせて、このお話の世界に入りこませます。

この本の中心でもあると思うのですが、記憶が人を成長させるものになるというテーマがやわらかな絵とともにじんわりと伝わってきます。



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『きつねのかみさま』
 あまんきみこ/作 酒井駒子/絵
 ポプラ社 1,100円+税 2003年初版



思いやり



ほんわかする



繊細、重厚



姉と弟の二人はなわとびのひもを忘れてしまい公園に取りに戻ります。
するときつねの子供たちがなわとびで遊んでいました…



共に人気、実力ある作者と画家の合作です。
ですから、気負いがなく、いつの間にかすっと、きつねと人が話し、いっしょに遊ぶ世界へ誘い込まれます。
ファンタジー性よりも登場人物の感情に寄りそうことを大事にしているようです。
映画「思い出のマーニー」もそういう印象がありました。
現代的な繊細さです。
最後に読み手への贈り物のような一言が待っているのもいつまでも心に残ります。



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『かいぞくポケット1 なぞのたから島』
 寺村輝夫/作 永井郁子/絵
 1,080円 1989年初版



冒険



わくわくする



親しみやすい



仲間たちと胸おどるできごとを通して宝さがしの大冒険がくりひろげられます。



ストーリーもさることながら、特徴的な書かれ方として、読み手に投げかけがあることです。
最初のページから「ポケット ケポット トッポケト うまくいえたら、よみはじめてよろしい」と始まります。子供たちの中には声高らかに言ってから読み始める子もいます。

お話の途中でも、「じゅもんを三かいとなえること。うまくいえた人だけが、つづきをよんでよろしい。」と出てきて子供は「これ読むの?」と質問されることがよくあります。

なるほど、こういうところがこの作品の良さだなあと感じます。



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『みんなのきもち』
 村上しいこ/作 西村繁男/絵
 1,296円 2006年初版



他人の気持ちを理解しよう



ほんわかする



ちょっとぶさいく



はちろう君は、自分以外の気持ちになるという学校での友達の発表が不満です。それがしゃぼん玉の気持ちだったからです。「うそやん。うそつきや。」と言います。 しかし、家族といっしょにやってみると、信号機や鉄棒やゴミ箱、果てはおでんの気持ちになってみることができるようになるのでした。



関西弁のセリフまわしと、おでんがしゃべり出すという少しずれたような観点と間が抜けたような絵のタッチ。しかし、しっかりと他人の気持ちを理解しようとするステップを踏んでいる巧妙さ。つかみどころがないようで、最後にしっかり何かをつかんでいる読後感になります。




校舎ごとの開講時間割はこちら


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『ぼくはおばけのおにいちゃん』
 あまんきみこ/作 武田美穂/絵
 教育画劇 1080円 2005年初版



友だち 兄妹



わくわくする



輪かく線が太く、はっきりしてわかりやすい



留守番する幼い兄妹が夜になる心細さを感じています。
唐突におばけが窓からやって来て二人と一緒に夜空をかけめぐります。



先日、「5回読んだよ!」と1年生に言われたた本をご紹介します。
おばけとの交流という、ありがちな設定の本だなあという印象でしたが、子どもが再読したくなる魅力は何かと考えてみたくなりました。
まず、大人には単純に感じるストーリーですが、それは絵を見る余裕を持たせる意図があるようです。
星空の絵が見開きいっぱいに広がったり、おばけが紙面を縦横無尽に飛び回る様子が躍動感を感じます。
また、ことばに着目すると「ひゅうひゅうひゅう。」「おーい、おーい、おーい」など繰り返しが多用されます。

考えてみると、単純明快なストーリー、繰り返しという人を読書の世界に引き込む要素の王道がありました。
1年生に学んだ1冊です。






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『しっぱいにかんぱい!』
 宮川ひろ/作 小泉るみ子/絵
 童心社 1100円 2009年初版



思いやり 失敗



じんとくる



顔の表情が豊か



運動会のリレーで失敗した主人公が落ち込んでいます。
おじいちゃんたちと失敗談を語ることで前向きになって行きます。



失敗は生きていればつきものです。
その失敗で落ち込むことも当然です。
けれども、当人は取り返しがつかない気分でいっぱいになるのが人間です。

 

落ち込んだ主人公におじいちゃんは
「そうか、いい話じゃないか。」
「しっぱいにかんぱいだ!」
とはげましてくれるのです。

 

そして、次々にみんなが自分の失敗談を語りだし、
そのたびにみんなのかけ声で「しっぱいにかんぱい!」が起こります。

 

他者の肯定によって、自己肯定感を回復する物語です。
人が人のためにできることをストレートに教えてくれる本です。



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『おおもりこもりてんこもり』
 藤真知子/作 とよたかずひこ/絵
 ポプラ社 900円 2008年初版



 もりそばとモリのソバ(森の側)をかけるダジャレのとぼけた雰囲気の中、森の住人たちの世界に迷いこんでしまうという奇想天外な作風は『まじょ子』『わたしのママは魔女』シリーズで有名な作者の真骨頂です。


 ユーモアな作風の中に自然破壊がさらりと風刺的に描かれているところなど和製『不思議の国のアリス』のように思いました。


 ユーモアはストレートに意味を投げかけない分、実はあたまを使うので洞察力や感性が生まれる瞬間でもあります。


 読み終わったら、どうぞもりそばをお子さんとご一緒に召し上がってください。



 そばやのやへいさんが注文を受けるのは森の動物や妖怪たちです。
 彼らとの心の交流が描かれます。



 ファンタジー 環境問題



 ほんわかする



 ほのぼの・かわいい



中学受験で1年生の漢字の書き取りがある!?


こんにちは。読書から国語力を育てる ことばの学校事務局の須藤孝行です。

1,2点が合否にかかわる入試において、国語の漢字の読み書き問題対策も、決しておろそかにできません。

そこで、今回は、中学入試での漢字対策にむけてワンポイント・アドバイスです。

近年の中学入試での漢字の読み書きは、1006字の教育漢字つまり、小学校6年間で学習する漢字の範囲から出題されるように改善されました。(以前は中学校の漢字も出題されていました)

そこで、各学校の先生は、学習の成果を判断するのに教育漢字の中でも、高学年になって学習する難しい漢字を好んで出題しそうな気がしますよね。

ところが、必ずしもそうとは限らないのです。
去年を例にとると、

  1. 彼女はキグライが高そうに見え、僕のことなど相手にしてくれそうになかった。(聖光学院)
  2. コメダワラを数える。(横浜共立学園)
  3. 自動車組み立て作業のコウテイを見直す。(慶應普通部)
  4. 文化のサイテン。(フェリス女学院)

などが出題されています。

答えはこちら

 答え

  1. 気(1年)位(4年)
  2. 米(2年)俵(5年)
  3. 工(2年)程(5年)
  4. 祭(3年)典(4年)

見てのとおり、上の8つの漢字の半分は、小1~3年までの漢字!
ですが、どの熟語も、日常的に小学生が目にしたり使ったりするものではないですよね?

もちろん、6年生の漢字もたくさん出題されるのですが、要するに
漢字そのものは難しくはないが
小学生として普段、使うことが少なく
なじみの薄いことばが漢字の書き取りで狙われる!

ということなのです。

普段から語彙力を高めて、あまりなじみのないことばでも漢字で書けるように意識しておくことが肝心ですね。

このことを意識して漢字練習に取り組み、漢字を着実に得点につなげてください!

ことばの学校のワークには漢字の書き取りシートもついています。
語彙の習得と漢字の読み書きの徹底。受験指導のノウハウを生かした国語の力を身につけましょう。

14年フェリス女学院の入試にことばの学校ラインナップが出ました!


2014年のフェリス女学院中学校の国語の入試問題は山本有三『路傍の石』から出題されました。ことばの学校ラインナップとしておなじみの古典的名作です(なお、このコーナーで前回、前々回と紹介しました佐倉統の著作は鎌倉学園で、鷲田清一の作品は横浜雙葉と湘南白百合で出題されました)。
さて『路傍の石』に戻しますが、取り上げられたのは、度胸だめしに主人公・吾一が鉄橋にぶらさがろうとする場面です。ホンネとタテマエの描き分けられた心理のあやを読み取ることが求められる部分です。


ホンネ=怖い
タテマエ=意地、強がり


問一は「胸がせまる」という慣用表現の知識をもとに前後の文章関係から答えをしぼる設問でした。
文脈から言葉の意味を類推するということばの学校読むとくメソッド®タイプの設問と言えます。
つまりは前後の出来事から人の気持ちを推し量るという常日頃の生活で必要な力が文章で試されています。


ことばの学校のメソッドは読書したすぐ後にリアルタイムに出てきた言葉(語彙)を学習する「読書ワーク」があるので文脈を通しての言葉の理解が可能です。『路傍の石』のように入試頻出作品も数多くラインナップされています。




大学入試のここ5年間の出題では2人の著者(鷲田清一・内田樹)の作品だけで172回も出題されています。まさに入試の「横綱」と言ってよいでしょう。 実は2人の著書は大学入試だけでなく、中学入試でも数多く出題されています。


ここ10年(2003~2013年)で鷲田清一・内田樹の文章を出題した主な中学校


  • 海城中(2013年・2008年)
  • 日本女子大学附属中(2013年)
  • 海陽中等教育学校(2013年)
  • 成蹊中(2012年・2009年)
  • 武蔵中(2012年)
  • 市川中(2012年)
  • 普連土学園中(2011年・2009年)
  • 早稲田中(2011年)
  • 明治大学附属明治中(2009年)
  • 浅野中(2009年)
  • 横浜雙葉中(2009年)
  • 攻玉社中(2006年)
  • 森村学園中(2006年)
  • 公文国際学園中(2006年)
  • 成城中(2004年)
  • 洗足学園中(2003年)

ごく最近では、四谷大塚の12月7日実施の中学受験6年生の合不合判定テストでも鷲田清一の文章(『おとなの背中』角川学芸出版)が出題されました。入試に2人の著書が多く出題される理由は専門領域が2人とも哲学だからです。身近な事柄を扱いながらも、一般論とは違った見解を抽象度の高い文章で表す内容です。
そのためじっくりと文脈を追って論旨を確認する正攻法が要求されます。
知識やテクニックだけで切り抜けることは難しいのです。
文脈を追って内容を忠実に自分のものにすることが必要です。
ことばの学校ではじっくりと本1冊をまるごと読む経験を積み重ねています。
それだからこそ文章に真摯に向き合う姿勢が身についていきます。




入試シーズン本番です。今回は試みとして国語の出題作品を予測したいと思います。そんなことができるの?と思われるかもしれませんが、実は出題される作品には傾向があります。たとえば、これは大学入試の話ですが、ここ5年間の出題では2人の著者(鷲田清一・内田樹)の作品だけで172回も出題されています。
主にどのような傾向があるのかを下記にリストアップしてみました。


  1. ① 新書の発刊形態が多い
      (5回以上出題されたもののうち63%が新書からだった)
  2. ② 入試前年の春~夏に刊行されている
      (約340作品が前年の1~6月に出版されたもの)
  3. ③ 初出時に雑誌連載されたもの
      (読み切りやすい量のため)

  『著者に注目!現代文問題集』(教学社)より2012年の出題分析


上記の傾向に合致して、かつ過去に同じ著者の作品が多くの中学校入試で出題がされたことがある本に心当たりがありますので試みに出題予測として取り上げてみたいと思います。


その作品は、佐倉統著『「便利」は人を不幸にする』(新潮選書)です。


こちらは、

  1. ① 選書という新書に類する発刊形態であること
  2. ② 2013年5月の刊行であること
  3. ③ 初出時に『考える人』(新潮社)という雑誌に連載されていたこと

という上記の3項目をほぼ満たしており、また以前に同じ著者の『おはようからおやすみまでの科学』(ちくまプリマー新書)から過去に何度も出題がありました。


過去に『おはようからおやすみまでの科学』を出題した中学校


  • 栄光学園中学校(2007年)
  • 巣鴨中学校(2007年)
  • 開智中学校(2007年)
  • かえつ有明中学校(2007年)
  • 東洋英和女学院中学部(2009年)
  • 帝京大学中学校(2009年)
  • 中央大学附属中学校(2010年)
  • 日本大学第一中学校(2010年)
  • 東京学芸大学附属世田谷中学校(2011年)
  • 成城学園中学校(2011年)
  • 穎明館中学校(2011年)
  • 安田学園中学校(2012年)
  • 青稜中学校(2013年)

『「便利」は人を不幸にする』の内容は3・11の原発問題から科学技術を取り巻く日本的組織の問題点について切り込んでいくものでした。
「ムラ」社会、責任の所在が不明瞭、全体計画の構成は苦手だが局所的な精緻な対応策は得意といった日本的組織体質に対する言及が多いため、科学の内容を扱いながらも広く文明批判的な内容となっているものです。書店で購入または図書館で借りるなどして一度、読んでみてはいかかでしょうか。
なお「ことばの学校」書籍ラインナップには、入試頻出の作品がたくさんそろっています!






 『おしいれのぼうけん』 古田足日/作 田畑精一/絵
 童心社 1300円 1974年初版



 冒険(成長)



 ハラハラ·ほっとする



 えんぴつ画·素朴·モノクロ



 保育園で叱られて真っ暗闇の押入れに入れられてしまった二人。 そこで恐ろしいねずみばあさんが現れて大冒険の世界が繰り広げられます。



 子どもたちがことばの学校で読み終わっても、しばらくたってまた読みたいと本棚から持って来る本があります。


 何度もそういうリクエストを受けたのがこの本です。 大人目線では第一印象えんぴつで画で、モノクロであまりピンと来ない感じがあるのですが、どうやらストーリーにインパクトがあるようです。


保育園の押入れという 日常  から暗闇の中に広がる無限の ファンタジー  世界。


大人が読む小説でも名作とは、 共感(シンパシー)  と  驚き(ワンダー)  の要素がバランス良く組み合わさっていることだと言われます。


そして、名作とは再読をうながすものだとも言われます。 もう一度読みたいと子どもたちが魅力を感じるこの作品はやはり名作として読み継がれています。


ことばの学校で『おしいれのぼうけん』をぜひ読んでみてください。






 『あるはれたひに』 木村裕一/文 あべ弘士/絵
 講談社 1050円 1996年初版



 おもいやり



 シリーズ300万部のベストセラー



 ドキドキ·ワクワク·じーんとする



 オオカミとヤギがひょんな事から相手の正体を知らないまま友だちになる『あらしのよるに』の続編2巻目。 2巻目では正体がわかってしまいます。どうなるんだろう!?



 先日、著者の木村裕一さんの講演会に行って来ました。 そこでの一言メモです。 「子どもはおいしいと思い、親が子どもにとって栄養があると思うものを書きたい。」 「それには人間への興味につながるものが良い。」


 友だちだけれど、いつか食べられてしまうのでは? ハラハラしながらページをめくってしまいます。 ラストもこの後はどうしたんだろう?と想像させます。 これがシリーズ7巻楽しめます。 シリーズ最後は大人も泣けるストーリー。


木村さんの大人向けの本に『きむら式 童話のつくり方』(講談社現代新書)があります。 その中でこの『あらしのよるに』シリーズについて言及している部分があります。


『あらしのよるに』で非常におもしろかったのは「その後の話」というのが、読者からいっぱい来たこと。  「一からお話を書いてください」と言ったら書けないかもしれない。けれども、その話を夢中になって読んでから、続きを書けと言われたら、すぐに頭の中でいろいろ想像ができて、書けない子もかけちゃった、ということもあるだろう。


 本を読む良さはインプットだけでなく、想像するアウトプットにもあります。 お子さんにはお話の続きがどうなったと思う? とぜひ聞いてみてください。 想像力が育ちます!


ことばの学校で『あるはれたひに』をぜひ読んでみてください。





 2013年1月の大学入試センター試験では昭和の文芸批評の第一人者である小林秀雄(1902年‐1983年)の文章が出題され話題になりました。今年が没後30年ということもあり、その後も雑誌で特集が何本か組まれました。


 小林秀雄の文章は難解で通っています。何十年も前から大学入試の定番の出題作家として受験生を苦しめて来ました。それは文体や文章構成が一般的な論説文のような明解さを意図したものでないからです。むしろ、硬質な内容を扱った随筆であるという認識を持ったほうがよく、小説的なエピソードが途中に入ったりして、心情の読み取りや文学的表現(比ゆなど)を読み取ることが要求されます。
それゆえ、論説文の解法テクニックのようなものであたってもうまくできません。その場合、テクニックではなく文脈から筆者の意図を類推するという、文章を読む上で最も基本的な態度でのぞむしかありません。小説を読むような読み方を要求するのが小林秀雄の文章です。最後に筆者の意見がまとめられたりしていません。全文を読み飛ばすことなくじっくりと読むことが求められるのです。


 センター試験の出題「(つば」も刀の鍔をただの美術品と思わず、生死のはざまに使われた実用品であるという生命感を見い出しています。文末に意味深に付け加えられた(さぎが空を舞う場面も、風景のように木に留まっていた鳥が頭の上を舞った瞬間の生命感を鍔の透かし彫りと重ねています。
このような読み取りは経験則がものをいいます。それまでに小林秀雄の文章に触れたことがあったかどうかが受験生の得点を左右したと思います。


ことばの学校では良書多読の名の下にたくさんの本を読み進めます。受験勉強だけでは補えない、本1冊をまるごと読む経験があるからこそ身につく文脈類推力があります。文章には論理展開やストーリーのパターンがあることをおのずと知り、自分の経験値とすることができるのです。



  「国語」の力は全ての科目の基本になる重要な力ですが、伸びにくく、また見えにくい力とも言われています。ことばの学校では、国語の力の基礎をなす「語彙力(ことばの力)」と「読書速度(読む速さ)」に焦点を当てて、診断ツールを独自に開発してきました。


テストは、A~Dの4つの種類で構成され、それぞれの伸びを指数化して評価し、成長度合を記録していきます。日頃の成果を確認する場としてのテストになります。



Aテスト 推定語彙数診断
 国語辞典の中からランダムに選び出された、50個のことばの意味が分かるかな?

Bテスト 学年相当語彙数診断
 小学校の教科書の中から50問のことばが聞かれます!

Cテスト 分野別語彙数診断
 現代語、ことわざ、慣用句などから60問を出題します!

Dテスト 読書速度診断
 キミは5分間で何文字読めるかな?

●読書指数®診断テスト 2013年春より
受検した人も、そうでない人もやってみよう。

正解はこちら ▶
 正解 (1) 2  (2) 3

  夏休みの宿題でもどうしたら良いかを考え出して、結局後回しになりがちなのが読書感想文ではないでしょうか。Qゼミではこの夏、ことばの学校で推薦図書コースを開講して読書感想文をサポートします!


読書感想文で取り組みを難しくさせている原因は、自由課題であるということです。読書感想文の場合、図書の選定から作文まで本人にゆだねるところが大きいため、取り組み自体に大きな心理的ハードルが存在していると言えるでしょう。


  受講者には作文までの下準備のプロセスを分割したシートで取り組むことにより、段階的に読書感想文を作成できるような構成の「読書感想文の書き方(冊子)」を付録としてお渡しします。読書感想文の原稿に向かうまでの案内役としてどうぞ活用してください!

  夏休みの宿題でもどうしたら良いかを考え出して、結局後回しになりがちなのが読書感想文ではないでしょうか。Qゼミではこの夏、ことばの学校で推薦図書コースを開講して読書感想文をサポートします!

  読書感想文が進まないケースでありがちなのが、たまたま自分で読んだ本が自分に合っていない内容だったのに、その1冊の本で何とか感想文を書こうとして、書くことが浮かばない。そして、結局はそれが元で読書が嫌になり、書くことも苦手なんだと思い込んでしまうことです。保護者の皆様の中にも心当たりがあるのではないでしょうか。

  普段読書習慣がない場合、せっかく読んだ1冊で感想文を仕上げたいと思う気持ちは良くわかります。しかし、読書習慣がないからこそ、自分の中に読書の経験値を作って、その中から自分に合った1冊を見つけ出し、書くことをおすすめしたいです。

  「ことばの学校」では、まず、「読み聞かせ」「音読」に通じる「音声による文章の読み上げ」を行います。黙読だけでは内容理解が難しかったり、集中力が持続困難だったりする場合に対して大きな手助けになります。普段読書習慣のないお子様でも無理なく始められます。受講者には「読書感想文の書き方」案内をプレゼントします。お申込みをお待ちしています!

 2013年の湘南高校の特色検査の問1は、「矛盾」という言葉について元になった古代中国の話を読み、その文章についての内容正誤を選択問題で答えるものでした。

この設問では「矛盾」という言葉についての語彙の知識がもちろん問われています。加えて「矛盾」という言葉自体に含まれる論理性の真偽を選択肢の文脈の間違いから問うというものでした。単なる知識としてだけではなく、言葉を文脈から論理的に判断する力を試す問題と言えます。

 また、問3は『池上彰の新聞ななめ読み』(2010年12月24日朝日新聞)からの出題でした。池上彰氏がPISA(OECD経済協力開発機構が国際的実施をする「生徒の学習到達度調査」)の調査結果を報じる各社の新聞記事の矛盾(・・)を指摘しているコラムを取り上げたものです。そのコラムと実際の調査結果の数値とを照らし合わせ、答えを出す問題でした。

 この設問はPISAの問題で実際に問われた統計資料を見る力(・・・)を試す問題と同様なものです。このように文章のみならず、他の情報と組み合わされたような形式の文章出題がPISAの出題の中心です。なぜなら、日常生活に必要な読解力という観点が強いからです。

 近年、PISAの出題傾向を受けて国語の問題に新たな方向性を打ち出す学校が多くなっています。PISAにおける日本の学力結果の考察として、必要な情報を見つけ出し取り出すような問題は得意だが、情報同士の関係性に解釈を付けたり、自分の経験と結びつけて意見を書くようなことが苦手であるという傾向が出ました。

 湘南高校の出題もこの傾向に対処しようという動きと言えます。文章単体の読解を越えて解釈・意見を付けて行くような傾向が新たな国語の出題の方向性と言えます。一定レベルの読解力があるのは前提とされ、それ以上の国語力が必要とされているのです。

 一層、国語の力の要請される現状において、やはり読書を自分の下地・基盤に持っていることがアドバンテージ(優位性)となります。ことばの学校の読むとくメソッドでの即解力、語彙力、集中力、速読力が総合的な国語の力の基盤となります。



●読書指数®診断テスト 2013年春より
受検した人も、そうでない人もやってみよう。
正解はこちら ▶
 正解 (1) 4,  (2) 2
13年開成中学入試に見る読書力
 市立南高附属中の適性検査Ⅰ(45分間)の問題は、以下3つの文章を取り上げて、言葉の使い方の変化に対しての三者三様の受け取り方を整理・考察し、比較するものでした。
松平定知『心を豊かにする言葉術』(小学館101新書)
加藤秀俊『なんのための日本語』(中公新書)
兼好法師『徒然草』


 まず、松平定知氏(元NHKアナウンサー)は、「していただいてもよろしいでしょうか(・・・・・・・・・・・・・・)」という過剰な敬語用法や「信じれない(・・・・・)」といった「ら」抜き言葉の使用について、その使用に対して「あまり寛容だと際限がなくなる。ここは物分りの悪いじいさんになろうかと。」とかなり違和感がある旨を語っています。

 次に、加藤秀俊氏(元学習院大学教授)は「ことばの乱れ」というがことばの世界にははっきりした基準などはなく、「意味・用語の乱れ」と感じるのは多分に個人的なモノサシに過ぎないと論じます。

 そして、兼好法師においては『徒然草』の第二十二段で「何事も古い世のものに心引かれる。今風のものは、何かひどく下品だ。」と言葉の使い方が変わっていくことを嘆いています。今から700年前でさえ、このように新しい言葉に対して抵抗感があったことが伺い知れます。

これらの文章を読み、それぞれの論旨と合う選択肢を選ぶ問題と、その後に意見文を450~500字でまとめる問題が設問の中心です。

 複数の論旨をまとめ意見文を書くという出題はPISA(OECD経済協力開発機構が国際的に実施をする「生徒の学習到達度調査」)での日本の自由記述問題が各国平均を下回った結果への対処的出題と言えましょう。

意見文というと「自分の考えを一から書かなければならない、何か特別な技術を改めて身につけないといけない」と及び腰になりそうですが、設問を注意深く読んでみましょう。すると文章で述べられた松平氏、加藤氏、兼好法師の考えの中から二つ以上取り上げることという条件が付されています。

 この条件指示は意見文と言っても、自由に何でも自分の考えを書けばよいという訳ではないということです。読んだ文章の理解力が問われ、それを整理してまとめる文章力が試されています。

 確かに、解答の作文用紙を見ると書く力が試されているという先入観を持ってしまいそうですが、それ以上に重要なポイントは、いかに出題された文章を読み込むことができるか、それを整理して解釈できるかという読みの力の応用なのです。

 さて、ことばの学校では年間春と秋の2回の
読書指数®診断テストがあります。PISAもそうですが、なかなか目に見えて分かりにくい国語の力を数値化して定期的に成長度合を測定するものです。設問の中には市立南高附属中で取り上げられたような敬語や適切な表現についての出題も多数あります。このように日頃の成果を確認する場を設けています。


読書指数®診断テスト 2013年春 より
 受検した人も、そうでない人もやってみよう。
次の中で、もっとも丁寧な言い方の文を選びましょう。

(1)

 1 おじいちゃんからお年玉(としだま)をもらいました。
 2 おじいちゃんからお年玉(としだま)をいただきました。
 3 おじいちゃんからお年玉(としだま)をおもらいになりました。
 4 おじいちゃんからお年玉(としだま)をもらった。
(2)
 1 わたしはそれを()っている。
 2 わたしはそれを存知(ぞんじ)ております。
 3 わたしはそれをご存知(ぞんじ)でいらっしゃいます。
 4 わたしはそれをご承知(しょうち)です。
正解はこちら ▶
 正解 (1) 2, (2) 2 
13年開成中学入試に見る読書力
 2013年の慶應湘南中等部の国語の入試問題は伊藤進著『〈聞く力〉を鍛える』(講談社現代新書)から出題されました。著者は北海道教育大の心理学者です。

 「話し上手」「話し下手」「聞き上手」という言葉はあるが、「聞き下手」という言葉はあまり使われない。しかし、実際はこの「聞き下手」という人がたくさんいないだろうかと話題は始まります。相手かまわず一方的にしゃべりまくる人や「授業崩壊」を例に挙げて「聞き下手」を指摘します。その原因として、今日の①急速変化、②情報氾濫、③マイクや携帯電話の普及という社会状況によって聞く力(特に目の前にいる人の話を聞く力)が低下していると論じます。

 また、スキルとしての言語能力のうち、「読む」「書く」「話す」には訓練が必要という認識が一般的にあり、学校教育でも「読む」「書く」「話す」のスキル形成のためのカリキュラムが実際組まれている。

 しかし、「聞く」力についてはスキルアップのための手だてがいまだに明確にされていない。では、手をこまねいているのではなく、「聞く」力を高めるためにはどんな取り組みをすればよいだろうかという肝心な結論の前の部分で出題は終わっています。

 ここで本書をひも解いてみると、筆者は以下の必要性を訴えて論をまとめています。

 ①聴力 ②注意力 ③知識 ④理解力 ⑤記憶力 ⑥応答力 ⑦身体的エネルギー 
 ⑧忍耐力 ⑨感情統制力 ⑩時間的余裕 ⑪心理的余裕 ⑫メタ認知力 


 さて、入試に話を戻しますと、説問の中には、文章を通して語彙のイメージを理解しているかを問う問題がありました。情報氾濫の説明をしている文脈に空所があり、そこに「情報の洪水」という言葉を入れる問題です。「洪水」という言葉を比喩的なイメージをもって、文脈に即して使用できるかという語彙力が試された問題です。

「聞く」力を高めるためにはどんな取り組みをすればよいだろうか という筆者の問いに対して「ことばの学校」には、一つの答えがあります。

 「ことばの学校」では、まず、「読み聞かせ」「音読」に通じる「音声による文章の読み上げ」を行います。黙読だけでは内容理解が難しかったり、集中力が持続困難だったりする場合に対して大きな手助けになります。この結果、「聞く」姿勢づくりができ上がります。

 また、他者による「読み聞かせ」や、自身による「音読」も、その速度を速めていくことは至難の業ですが、「速聴読」は徐々に朗読音声の速度を上げることができるので、読書スピードそのものを速くすることができるのです。

 このように〈聞く力〉を鍛えることで「読む」力につなげていくのが、「ことばの学校」のメソッドです。聖徳太子は十人の話を同時に聞けたといいますが、「聞く」力を鍛える道は一日にして成らずです。たくさんの良書を友としてお子さまが続けていけるのが「ことばの学校」の学習環境なのです。
13年開成中学入試に見る読書力

 2013年の開成中学校の国語の入試問題は華恵『本を読むわたし』から出題されました。筆者は小さいころからの読書好きで小学生のときに全国作文コンクールで文部大臣賞を受賞しており、小学6年生のときにエッセイを出版した経歴の持ち主です。

 小4の主人公が小1のみんなに読み聞かせ会を行うストーリーを軸に読み聞かせを行う本を通して、過去にあった友人との苦い体験を捉え直すという作品で、回想シーンが読み解けるかがキーになる出題でした。回想を読み解けるかという出題傾向は中学受験にとどまらず、難問だった今年のセンター試験入試の国語の小林秀雄、牧野信一のどちらの文章にも通じるものです。

 『本を読むわたし』のストーリー自体は、読書することが人の心の支えとなり、力となるということをストレートにうたったものでした。また、設問では文中の「会う」と「見かける」という言葉の違いを記述させる出題がありました。人間関係を表現するとき、それぞれの言葉の背景に「会う=能動的」、「見かける=無関心」という意味が含まれていることを対比させて説明することがここでは求められました。単に言葉を知識として学習するだけでなく、文脈やイメージと結びつけて考えられるかということが問われています。

 ことばの学校のメソッドは単純なことばの暗記ではなく、読書経験を通して有機的に生きた言葉としての語彙力を養成するプログラムです。そして、たくさんの良書を通して回想の場面転換に慣れることもできます。また、読書したすぐ後にリアルタイムに出てきた言葉(語彙)を学習する「読書ワーク」があるので文脈を通しての言葉の理解が可能です。入試頻出作品も数多くラインナップされています。開成中学でも求められる国語力の養成プログラムがことばの学校には備わっています。一人でも多くの子どもたちに中学受験の専門性を生かしたクオリティで “読書することが人の心の支えとなり、力となるということをストレート” に伝えたい。『本を読むわたし』と同じく、それがことばの学校の願いです。